2003 Fiscal Year Annual Research Report
敵対的買収における取締役の行為規制に関する比較法研究
Project/Area Number |
15730058
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College |
Principal Investigator |
矢崎 淳司 東京都立短期大学, 経営システム学科, 助教授 (90331488)
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Keywords | 商法 / 会社法 / 企業買収 / M&A / 外国法 |
Research Abstract |
敵対的買収の対象となった会社の取締役がどのように行動すべきかという問題が、ヨーロッパでどのように扱われているかを検討するため、ハンブルクのマックスプランク研究所においてEU法およびドイツ法の調査研究を行った。また、アメリカの最新の動向を把握するため、ポイズンピルの実効性に関する検討を行った。 1.EU法およびドイツ法 欧州委員会が2001年6月に採択した企業買収指令は、イギリスのCity Codeと同様、敵対的買収の対象となった会社の取締役に厳格な中立義務(Neutralitatspflicht)を課した。同指令によれば、対象会社の取締役が敵対的買収に対して防衛措置をとることができなくなるおそれがあったため、自国産業保護の観点からドイツ等が強硬に反対した結果、同指令は廃案となった。その後、欧州委員会は、反対国の立場にも配慮した新たな指令を2002年10月に発表したが、未だ承認されていない。また、ドイツでは2002年1月1日から企業買収法(WpuG)が施行されている。同法は、イギリスのCityCodeをモデルとし、対象会社の支配権(30%以上の議決権)を獲得した者に対して買付のオファーを義務づけている点が注目されるが、対象会社の取締役に課される中立義務に関してはさほど厳格ではない点や、企業買収を市場の自己規制に委ねることを前提としていない点が、CityCodeや2001年6月のEU指令とは異なっている点が注目に値する。 2.アメリカの最新の動向 ポイズンピルはアメリカで最もポピュラーな防衛措置であるが、その実効性を検討する際には、ポイズンピルが将来採用されるかもしれないという予測(=「シャドウピル」)が重要であることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)