2004 Fiscal Year Annual Research Report
EUのガヴァナンス形成における社会アクターの戦略と機能
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15730073
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
網谷 龍介 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40251433)
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Keywords | EU / 市民社会組織 / 組織された市民社会 / コーポラティズム / 代表性 |
Research Abstract |
本年度は引き続き文献・資料の調査・収集を行ったほか,部分的な成果を公刊し,研究会等でも報告を行った. 本年度の成果の中心は,社会団体の政策形成への参加に伴う問題の理論的な検討にある.これについては,4月に連合王国,9月にアメリカ合衆国の国際学会での報告を行ったほか,国内でも2回の公開研究会報告を行った上,英文雑誌への公刊を行った. 具体的には,EUにおいて,労資団体のみならず他の市民社会組織に対しても,これを政策過程に包含していこうとする動きが,コミッション全体の戦略における一つの方向性として見られ,それが「組織された市民社会」というキーワードとして公式文書に定着していることを明らかにした.これは超国家組織の正統性と政策レヴェルの実効性の向上を同時に達成しようとするものである.そのため,EUによる包含は,市民社会組織側に相互調整枠組を構築させ,それとの交渉を政策過程に組み込むという「ゆるやかなコーポラティズム」の形をとる.しかし,正統性と実効性はある種のジレンマ状況にあり,それは市民社会組織の「代表性」問題としてあらわれている.
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