2004 Fiscal Year Annual Research Report
セカンドベスト下での各種廃棄物処理・リサイクル政策の比較分析
Project/Area Number |
15730109
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
新熊 隆嘉 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (80312099)
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Keywords | 廃棄物処理・リサイクル政策 / 経済理論 / 使用済み耐久消費財 / 不法投棄 / 取引費用 |
Research Abstract |
近年、さまざまな使用済み耐久消費財についてこれまでのDF(廃棄物処理費用の後払い)方式にかわってADF(廃棄物処理費用の先払い)方式が採用されている。しかしながら、耐久消費財には一般に中古品市場が存在し、新品の購入者と廃棄者が異なることが多い。また、故障した中古品を修理するか廃棄するかは所有者の判断にゆだねられており、ADF方式かDF方式かの違いはその判断に影響を及ぼしうる。本年度の研究においては、ADF方式では社会的最適な結果を達成することができないことが明らかにされた。また、ADF方式では、社会的最適な状態と比較して大量生産(消費)・大量廃棄・耐久消費財の短命化という歪みがもたらされることも明らかにされた。さらに、競争市場均衡として社会的に最適な結果を実現するためには、故障した中古品の修理に対して補助金を支給することが必要となることがわかった。 しかしながら、補助金の支給に伴って莫大な取引費用が発生するものと思われる。このような取引費用を考慮すると、不法投棄と取引費用の両方を発生させないADF方式はセカンドベスト政策となりうる。製品一個あたり修理費用と廃棄物処理費用という二つのパラメータによる比較静学を行うことによって、ADF方式がもたらす社会的損失が小さい領域、したがってADF方式がセカンドベストとなる領域を特徴付けた。その結果、修理費用が大きく、廃棄物処理費用が小さいような使用済み耐久消費財についてはADF方式がセカンドベスト政策となることがわかった。
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