2004 Fiscal Year Annual Research Report
開放経済下の日本一国単独実施による環境税制改革の効果
Project/Area Number |
15730129
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
朴 勝俊 京都産業大学, 経済学部, 講師 (00351263)
|
Keywords | 環境税制改革 / 国際経済 / GTAP-Eモデル / 二重の配当 / リーケージ |
Research Abstract |
本研究では、日本一国だけが新規に実施する仮想的な「環境税制改革(環境税の導入と既存税の減税等の組み合わせ)」がもたらす経済影響を、国際応用一般均衡モデルをして定評のあるGTAP-Eモデルを用いて、とりわけ「二重の配当」の可能性と、国際的な影響の波及の観点から評価した。その成果は、環境経済・政策学会2004年大会(広島大学)において報告し、京都産業大学ディスカッションペーパー(2005-01)にて公表した。 この論文は、日本単独実施による環境税制改革は二重の配当をもたらす可能性があること、ただし、その効果は単に労働税を減税するケースよりも、重工業・工業の既存物品税を減税することによる、歪みの抑制効果が発揮された場合の方が大きいこと、さらに、炭素税のリーケージ率は44.2%であることを明らかにしている。いずれにせよ、日本経済にプラスの効果をもたらしながら環境税制改革を実施しうることは、国際経済モデルを用いても示されたと言える。 この研究を巡って、法的・国際経済的側面や理論的問題を明らかにするために、さまざまな関連文献を収集した。昨今、日本でも環境税導入の現実性が高まり、新聞等でも取り上げる機会が増えているが、その中で環境税の国内法・国際法上の論点が浮上しており、内外の研究成果を整理することは重要であった。これらは、必ずしも上記の研究の記述に引用されたものばかりではないが、研究の現実性を高める上で大きく役に立った。また、環境税制改革の二重の配当の理論については、諸外国では様々な研究成果が蓄積されているが、日本ではこれらの知見が必ずしも広く知られておらず、環境省主導の増税型炭素税提案を巡っても議論が行き詰まっている状況である。そのため、今回の研究の一環として論文「環境税制改革の「二重の配当」の可能性をめぐって」(所収『環境経済・政策学会年報第9号』)をまとめた。
|