2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15730140
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
柴田 淳 大阪市立大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (50281267)
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Keywords | 小売業 / 業態 / マルチ・マーケット |
Research Abstract |
本研究の目的は、大きな変革期を迎えている日本の小売市場を比較制度分析の観点から分析することにあった。この分析には3つの作業が必要となってくる。第一は、日本の小売市場の変化する現在を捉える作業である。第二には、比較対象となる諸国の小売市場の特性がどのような方向に変化しているかを捉える作業である。第三には、そうした内外の変化を共通の枠組みで説明する理論的フレームワークを構築する作業である。本年度の研究は第二と第三の作業を行ってきた。 第二の作業から得られた結果は以下である。まず、米国内においては、チェーン・オペレーションのさらなる進展が見られた。百貨店においては、既存二大勢力が合併の方向に向かっている。これは、需要リスクの高いハイファッションを中心に取り扱っている百貨店業態においても、GMSにおけるウォルマートに見られるようなグローバルな商品調達、標準化された販売オペレーションを追及する動きである。(資料調査になるが、欧州でもGMS業態において合併・連携の動きが見られる)このことから、多品種商品を取り扱う業態におけるひとつのスタンダードが確立してきている可能性がある。この背景には、百貨店という業態が専門店チェーンとすみわけが不明確になってきている状況もある。これは、米国内と同様に日本でも見られる状況でもある。さらに、米国内において、昨年調査をかけた都市型小売業にも大きな変化が起きていた。たとえば、都市型小売業の聖地とされてきたNYCにおいても郊外に大型チェーン店の台頭が見られる。このことは、これまで云われてきた都市型小売業と郊外型小売業とのすみわけが徐々に崩れてきていることを示している。 第三の作業は、昨年の第一の作業と去年と今年にわたる第二の作業をもとに、試行的に行われた。小売業は、同様の商品を複数の業態が取り扱っているという特性がある。そして、求めたいのは、そうした複数の業態の均衡状態が複数ある理由である。これを考える手がかりとして、「マルチマーケット・コンタクト」の概念を用いて、モデル構築を試みた。マルチ・マーケットをダイナミックな枠組みでモデル化する作業は来年度に引き続いて行われる予定である。
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