2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15730163
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
秦 劼 立命館大学, 経済学部, 助教授 (40329751)
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Keywords | 情報非完全性 / 資産価格 / 投資戦略 |
Research Abstract |
本研究は、科学研究費の交付期間である平成15年度内で、非完全情報下の証券投資と資産価格評価という研究課題について、以下の研究を行った。 ・非完全情報下、投資家の持ちうる情報とその更新する過程の考察 ・非完全情報下の投資戦略の分析 ・証券価格における情報非完全性の影響の分析 従来の資産価格モデルは往々にして完傘市場を想定するのに対し、現実の証券市場はさまざまな非完全性を持っている。典型的な資産価格モデルにおいて、証券価格は確率過程に従いランダム・ワークをするが、確率過程そのものは変らない。同時に、確率過程のパラメータも観測可能である。つまり、証券価格を決定する経済の仕組みは一定であり、それに関する情報も完全であると仮定している。しかし、実際の証券市場をみると証券価格は一定の確率過程に従うというよりも、むしろ好景気の時と不況の時が異なる確率過程に従う、と考えたほうがより現実に近い。景気がすでに上昇局面に転じたか、或いはまた逆に停滞状態に留まるのかというような議論は証券分析の際によく行われているという事実はまさにこのような直感を表している。そこで、より正確に投資と証券価格を分析するために情報非完全性を取り入れるために、本研究は金融市場における情報の非完全性を分析し、非完全情報のもとで投資家が持ちうる投資戦略を分析した。さらに、これらの分析に踏まえて、証券価格における情報非完全性の影響を分析した。
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