2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15730168
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 尚史 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (60262086)
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Keywords | 日本 / 明治期 / 鉄道企業 / 企業組織 / 職員層 / 日本鉄道 / 人事政策 / 企業統冶 |
Research Abstract |
本研究の主要な課題は、明治期鉄道業における企業組織の形成・展開を、それを支えた人的資源に注目しながら明らかにすることにある。3ヶ年計画の2年目である本年は、このような研究を行う場合に不可欠となる人事関係資料および企業組織関係資料の調査・収集と、日本鉄道株式会社の事例研究を集中的に行った。 本年度の資料調査・収集についてまず特筆すべき点は、榊原浩逸(日本鉄道会社幹事・支配人)旧蔵の英米鉄道関係図書・資料を入手できたことにある。その中には、運輸、経営管理、会計、組織といった鉄道経営の専門書や、ペンシルバニア鉄道の定款、営業報告書、鉄道統計などが含まれており、明治期鉄道企業組織の源流を分析する上で参考になる。また現地調査としては、グラスゴー大学(イギリス)のアーカイヴと、グラスゴー市立ミッシェル・ライブラリーを訪れ、スコットランドの鉄道、鉄道車輌製造企業の関係資料を収集した。このうちとくに鉄道車輌に関してはNBL(ノース・ブリティシュ・ロコモーティブ)社の史料を収集することができ、大きな成果があった。 一方、日本鉄道の事例研究についでは、前年度に引き続き職員データベースの作成を行うとともに、それを用いて企業組織の変化と人事政策に関する論文を執筆した(「近代企業組織の成立」)。賃金データが一部未入力のため、まだ不完全な部分もあるが、日本鉄道における組織改革と人的資源の関係について、実証的な分析の端緒が開かれたことは、重要と思われる。またそれと並行して、明治期鉄道企業の統治構造についても、九州鉄道と日本鉄道の比較を軸に分析を行い、論文を執筆した(「戦前期日本企業における所有と経営」)。これらの論文は、いずれも2005年中に刊行の予定である。今後は日本鉄道の職員データベースの完成を急ぎ、鉄道企業における職員層の形成に関する包括的な分析を目指したい。
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Research Products
(5 results)