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2005 Fiscal Year Annual Research Report

18世紀カタルーニャの地域工業化における消費者・商人ネットワーク・更紗捺染業者

Research Project

Project/Area Number 15730170
Research InstitutionAichi Prefectural University

Principal Investigator

奥野 良知  愛知県立大学, 外国語学部スペイン学科, 助教授 (20347389)

Keywordsカタルーニャ:スペイン / 交易離散共同体(Trading diaspora) / 地域工業化 / プロト工業化 / 更紗(キャラコ)捺染業 / 商人 / 制度 / 綿業
Research Abstract

本年度は、主に1、更紗の販路、2、カタルーニャ商人ネットワークの形成、3、スペイン各地の商人のもたらす情報が、更紗捺染業者の経営戦略にいかなる影響を及ぼしていたのか、という3点について検討することを目標とし、以下のような成果を得ることができた。まず、1について、更紗の販路は、カスティーリャが最も多くアンダルシーアがそれに次いでいるが、それは単にこれらの地域の人口が多いということによるのではなく、マドリードやセビーリャなど富裕層や中産層の多い大消費都市を擁していることによる。2について、カタルーニャ商人は極めて閉鎖的なネットワークを形成したが、これは、いまだに広い意味での様々な制度的・文化的な大きな違いが存在した当時のスペインでは、取引費用を大きく低減するために、このような閉鎖的ネットワークの形成が必要とされたからだった。3について、まず、各地の商人とバルセローナの捺染業者のあいだでは手紙での連絡が頻繁に行なわれており、商人は、単に商品の注文をしているものだけでなく、背景の色や模様の変更を求めるものや、各地の毎年の流行や購買力についての記載も多い。また、なかには密輸品の切れ端を送付し、それと同じ模様や布地の質を要求している事例もある。他方、捺染業者は商人の要求に対し、できる限りそれに応えようと腐心するものの、特に綿布の質に関しては、戦争の頻発する18世紀末においては良質の輸入綿糸の確保が難しく、商人の要求に十分に応えることができなかったため、このことが、捺染業者に馬力や水力を用いた紡績工場の設立を促すことになった重要な要因の一つとなった。総じて、カタルーニャ商人ネットワークの形成は、カタルーニャ綿業の形成・発展に不可欠であり、なおかつ、各地の商人からの要求や情報は、捺染業者にとって決定的に重要で、これに迅速に対応することができるか否かが、企業の命運を大きく左右したといって良い。

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Published: 2007-04-02   Modified: 2016-04-21  

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