2003 Fiscal Year Annual Research Report
企業保有史料から見直す現代インド経済史:独立前タタ鉄鋼所を舞台にして
Project/Area Number |
15730172
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
野村 親義 神奈川大学, 経済学部, 専任講師 (80360212)
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Keywords | インド / 工業化 / 植民地期 / タタ鉄鋼所 / 経営組織 / 関税 / 近代的労務管理 / 販売組織 |
Research Abstract |
平成15年度の主たる作業は、次の3つからなる。1.イギリス・ロンドン大英図書館、インド・デリーの国立公文書館などで一次資料の収集、2.制度論・組織論に関する議論のサーベイ、3.これら史資料・理論をもとに、タタ鉄鋼所の企業・経営組織の変遷に関する研究。以下、各々について、研究実績を報告する。 1.8月から9月と11月の計2回(計約5週間)、イギリス・インドの図書館・公文書館にて一次資料・政府刊行物の収集を行った。今回は主に、関税導入・政府資材のインド国内調達などに関する政府の経済政策決定過程を知る上で有用な、インド政庁経済関係省庁の議事録・これら省庁高官とイギリス政府高官とのあいだで交わされた各種書簡などを収集した。インド工業化にとって、政策がどのような影響を持ったのか考える上で、重要な資料を収集した。 2.1997年以降続けている、日本経済史家との研究会を通じ、近年盛んになってきた比較制度分析をどのように歴史研究に応用するか研究してきた。2000年から2002年まで留学のためこの研究会から離れていたが、2003年度より研究会に復帰し、最新の研究成果に触れることができた。現在は、このような研究がまだ萌芽状態にあるインド経済史研究に、この種の研究視座をいかに受け入れられるようなものとするか、試行錯誤を行っている。 3.1.2.を基礎に、論文作成を続けている。15年は、全9章計10万語ほどの英文原稿を書いた。まだ荒い文章なので、16年度はこの精緻化を主たる作業目標とする。 これら3つの作業のほか、作成中の論文の一部を国内外の関連部門の研究者に目を通してもらい、多様なコメントを頂戴していることも、報告させていただく。
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