2004 Fiscal Year Annual Research Report
技術革新メカニズムへの認知論的接近-青色発光デバイス開発史の分析を中心に
Project/Area Number |
15730187
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤井 大児 岡山大学, 経済学部, 助教授 (50346409)
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Keywords | 青色LED / 家庭用ゲームソフト / イノベーション |
Research Abstract |
技術革新のメカニズムを探る研究である。第一に、技術革新の結果として知的財産を巡って国際的な裁判紛争が続いていたなかで、我が国において一定の結果が示されたので、その内容について概観した。青色LED裁判では、アメリカと日本の両裁判所で知的財産権の所属と対価を巡って裁判紛争が続いていたが、東京地方裁判所の判断が下されたのを受けて、海外の研究者による情報提供とあわせ、その判決を経営学の観点から解釈した。 また技術革新のメカニズムを一定の理論的視座によって描き出すにあって、つねに適用事例の拡大は、切実な課題として認識していた。今年度の研究成果として最大のものは、新たな事例研究への進出が一定の成果を生む見込みを得られたことであり、今後の深まりを期待できる。ゲームソフト開発の事例研究を通じて、企業家の認識がその後の開発戦略の成熟・拡大にどのように影響しうるのかを、リアルオプション理論に類推を求めて議論した。 最後に、研究成果をより広い読者に公開するために、昨年から取り組んでいた邦文原稿を英訳し、さらに海外に対する成果発表の足がかりとした。株式会社スクウェアの創業から、株式会社エニックスと対等合併にいたるまでの過程を記述し、個別企業の競争戦略がRPGという新製品の発展・成熟にどう影響したかを考えさせるもので、以前の日亜化学工業のものと同様に、より広い読者を想定して英訳した。
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