2003 Fiscal Year Annual Research Report
製品開発におけるモジュラー型アーキテクチャ導入と開発組織の動態的適合に関する研究
Project/Area Number |
15730189
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
目代 武史 広島大学, 経済学部, 助手 (40346474)
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Keywords | 自動車産業 / 製品アーキテクチャ / 部品モジュール化 / 製品開発 / 開発組織のマネジメント / サプライヤー・システム |
Research Abstract |
本研究は、製品開発における製品アーキテクチャ(製品の機能要素と構造要素の対応関係を決める設計思想)の働きに注目し、製品アーキテクチャの変更が製品・部品開発プロセスおよび開発組織に与える影響を究明するものである。 本年度は、(1)既往研究の批判的レビュー、(2)自動車メーカー及び部品メーカーへの予備調査を行った。予備調査では、自動車メーカーA社にご協力いただいた。本年度の調査によって得られた知見は以下の通り。 A社のセンターパネルについて製品設計、開発組織、サプライヤー・システムを調査した。同社のセンターパネルは、従来からモジュラー型の製品アーキテクチャをしていたが、新車の開発に伴いアーキテクチャが見直された。新型センターパネルもモジュラー型であったが、電子基盤や操作パネルの統合化などを通じて、組立工数の削減、軽量化などが実現された。 この間、開発作業は、開発プロセスの初期段階からA社の開発部門と外注先の部品メーカーとの緊密な協力関係のもとで行われ、統合的な組織アーキテクチャが継続してとられた。既往研究では、製品アーキテクチャと組織のアーキテクチャは同型化する傾向があるとしているが、この事例では製品と組織のアーキテクチャが乖離していることが確認された。 製品アーキテクチャの変更期では、このような乖離は例外ではなく、むしろ必然性があると考えられる。すなわち、製品アーキテクチャの変更期には、製品を構成するサブシステムの切り分け方や繋げ方が変化する。この時、新たな製品アーキテクチャでは、設計に不確実性が多く、サブシステム間の相互依存が未特定である。そのため、開発プロセスの中で段階的にサブシステム間の相互依存を発見・解決していくために、部門間や工程間で緊密に連携しあう組織、すなわち統合的な組織アーキテクチャが必要となると考えられるのである。 次年度においては、上記の仮説を検証するために、より広範な開発プロジェクトについて製品及び組織のアーキテクチャを調査研究する予定である。すでに、A社の協力の下、同社の部品開発プロジェクトの調査研究に着手している状況である。
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Research Products
(1 results)