2004 Fiscal Year Annual Research Report
企業結合及び無形資産の会計情報に対する情報利用者の評価に関する実証的研究
Project/Area Number |
15730215
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
永田 京子 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 講師 (10345366)
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Keywords | 企業結合会計 / 無形資産 / のれん / IPO / 利益調整行動 |
Research Abstract |
研究初年度は,無形資産の形成に関連する財務・非財務情報の測定および開示が,実務においてどのように展開されているかについて国内外で情報収集を行うとともに,多くの研究者と意見交換を行った。その結果,企業(組織)内部では無形資産の形成につながる活動を積極的に数値化し,把握する取り組みが進められている一方で,外部の利害関係者への開示という取り組みはほとんど進んでいないという実情が明らかとなった。その理由のひとつは,競争力の源泉である無形資産の形成に貢献する活動や投資の実態を公表することで,競争上の不利益が生じる可能性が高い一方,その効果は(特に大企業の場合)不確実であるというものであった。 こうした知見を活かし,2年目である平成16年度は,企業内部の無形資産創造活動よりも,むしろ外部への公表財務データの会計処理に注目して研究を行った。ちょうど平成16年3月末に国際会計基準審議会から企業結合と無形資産に関する会計基準が公表されたことを受け,国際会計基準におけるのれんをはじめとする無形資産の取り扱いについて考察し,その成果を日本会計研究学会特別委員会での報告という形で公表した。 また,初年度のフィールド調査の過程で,新規株式公開(IPO)を行う企業はいわゆるニューエコノミー型であり,無形資産に依存しているケースが多いことが判明したことを受け,IPO企業の会計行動に関する実証分析も行った。その結果,無形資産が多く,情報の非対称性が高いIPO企業は裁量的な利益調整を行っていることが明らかとなったため,これを論文として公表した。
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Research Products
(3 results)