2003 Fiscal Year Annual Research Report
変動期における地場産業と住民参加の変容-川連漆器の伝統技術伝承を事例として-
Project/Area Number |
15730233
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
石沢 真貴 秋田大学, 教育文化学部, 助教授 (20321995)
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Keywords | 秋田県稲川町 / 川連漆器 / 地場産業 / 職人集団 / グローバル化 / 地域コミュニティ / 住民参加 / シティズンシップ |
Research Abstract |
今年度の調査研究は、以前から既に行ってきた聞き取り調査、資料収集を継続するかたちで行った。稲川町の川連漆器産業を支援する行政関係者、伝統工芸士として高度な技術をもつ川連漆器職人、家内制工業の重要な担い手である女性、若手技術者等に対し、川連漆器に関する活動や意識、地域コミュニティにおける生活などを個別に聞き取り、関係資料を収集した。そのなかで、従来みられなかった職人集団等の新たな形成、展開として、若手職人を中心としたイタリアン・デザイン漆器の企画製作、海外展示会参加、販売等の動きや、職人の妻たちによる企画や販売への参画を目標とした食空間デザインに関する勉強会の発足、活動がでてきていることが確認できた。これらによって、地場産業を基盤にもつ地域コミュニティが、少子・高齢化やグローバル化といった社会変化に直面したとき、伝統的な地域文化、技術伝承に関わる集団関係や地域コミュニティへの住民参加に対する意識が変容していく一端を捉えることができたといえる。こうした動向は現在も展開中であり、今年度のみの調査研究では不十分であるため、来年度以降も調査を継続していく計画である。 今年度中における調査研究をもとにした研究成果としては、まず昨年9月に東北都市学会での口頭発表を行った(「グローバル化にみる地場産業と職人集団の変容-稲川町の川連漆器産業を事例として-」)。平成16年3月現在既刊の論文等はないが、目下学会誌に原稿を投稿中である。参考までに申し添えると、平成14年度で終了となった科学研究費補助金による共同研究の成果として、生涯学習に関連した学術図書出版の刊行助成申請がなされており(平成16年度)、共著者として川連漆器産業の調査研究に関連した原稿を提出している(小林甫編著『変革期の《生涯学習》-その社会的意味と社会的役割-』)。
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