2003 Fiscal Year Annual Research Report
日韓の民衆交流過程における互助組織と互助機能の変容-済州島出身者を事例として-
Project/Area Number |
15730244
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
伊地知 紀子 愛媛大学, 法文学部, 助教授 (40332829)
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Keywords | 互助組織 / 互助機能 / 認識 / 在日 / 親睦会 |
Research Abstract |
本年度は、文献研究として、国際移動については、特に解放後の韓国から日本への移動と往来についての研究が稀少であると見受けられた。また、解放後の韓国社会の変動と互助組織および互助機能について、社会学に留まらず経済学・歴史学・文化人類学などの日韓双方の研究成果について現段階で得られた知見として、1960年代以降の離村傾向と農村の近代化との関連で互助組織の変容を捉える傾向が顕著であり、いずれ消滅するものと結論づけるものが多数であった。しかし、依然互助組織が様々な形で組まれることについて、組む人々の認識へのアプローチもわずかながら散見された。今後は、互助組織と機能について関わる人々の認識の視点から解明するにあたって、さらに議論を深めるために日韓の事例調査に留まらない文献研究の必要がある。 日本での調査では、在日本杏源里親睦会の中心メンバーの世代交替という大きな変化が見られた。新たな中心メンバーは日本生まれの人ばかりであり、正規の役員ではないが実質的なメンバーとして親睦会会員の夫が妻の母村である杏源里との繋がりに大きな役割を果たしている。親睦会と母村との関わりでは、母村のほうから高齢者の集会所建設のための寄付金が親睦会へ募られた。こうした親睦会の動きの一方で、最近母村から渡日してきた人が親睦会に関わらないようにしていることは今後検討すべき動向である。今年度は新たに在日本為美里親睦会の方にインタビューをし、杏源里と異なるありようを知り得た。韓国での調査では、杏源里での解放後の渡日しまた往来する人も必要に応じて、柔軟に互助組織を組んできた様子を知り得た。そのなかで高齢化がもう一つの検討課題となった。また、来年度の調査にあたって候補地である北西の梅村・郭支里と南東の山間の村・加時里のインフォーマントとコンタクトをとった。
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