2005 Fiscal Year Annual Research Report
日韓の民衆交流過程における互助組織と互助機能の変容-済州島出身者を事例として-
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15730244
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
伊地知 紀子 愛媛大学, 法文学部, 助教授 (40332829)
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Keywords | 在日 / 済州島 / 親睦会 / 互助機能 / 共同実践 |
Research Abstract |
本年度は、過去2年の文献研究と調査における資料収集の整理・検討および補足調査を実施した。韓国における済州島出身者の在日親睦会に関する文献のほとんどは、済州島に関する年代史のなかで解放後の経済的発展に寄与した側面から捉えたものである。しかし、2004年に開催された「済州歴史と周辺地域との交流」シンポジウムにおいて、申請者は解放後の在日済州島出身者と母村との経済的側面にとどまらない互助関係について報告した。その後、解放後の在日済州島出身者と済州島との関わりについて、経済貢献のみならず文化的影響や在日文化をめぐる研究の必要性が論じられるようになってきている。日本の文献では、規模の大きな在日親睦会の構造分析にとどまっており変容については希少である。在日済州島出身者の生活文化の生成と変容については、日韓双方から今後も研究が求められ深められる領域となるといえよう。本研究では、継続調査対象である杏源里に加え、為美里、加時里、朝天里についても調査した。為美里は解放後の朝鮮半島の政治状況との関わりで会としての母村との関連が途絶え、加時里も母村の経済的安定によって個人レベルの繋がりになった。朝天里と杏源里はどちらも母村との繋がりを維持しつつ在日する人々同士の生活共同体としても機能している。朝天里は会報も発行しており杏源里と比較するとより組織化されているが、いずれも次世代への継承が問題である。本年度の補足調査のなかで、杏源里の場合、中心的役割を担った2世代のなかで全員が一度母村を訪れるという目標が形成されてきたことを知り得た。経済的互助機能とは異なる目標の創造と共同実践については、信頼関係を形成するための時間をかけた継続調査によって得られる知見である。こうした互助機能の生成と解放後の母村および渡日者との関わりの変容については、他の親睦会とのさらなる比較のために今後も時間をかけた継続調査が必要である。
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Research Products
(1 results)