2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15730255
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
下村 恭広 早稲田大学, 文学部, 助手 (00350372)
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Keywords | 地域社会・村落・都市 / 環境社会学 |
Research Abstract |
本研究は、リサイクル活動に関わる多様な担い手の中でも特に再生資源卸売業者に着目し、彼らが経済活動としてリサイクルを成り立たせていた社会的・経済的諸条件と、それが近年のリサイクル政策の進展の中でどのような位置づけにあるのかを中心的な関心としている。本年度は、東京都荒川区東日暮里地区における故繊維産業集積地を主な対象とし、繊維製品のリサイクルに携わってきた故繊維業者について調査を進めた。 この調査では、撰分業者、ウエス製造業者、元繊維屑問屋、元裁落業者など、複数の故繊維業者に対する継続的な聞き取り調査を重ね、各事業所の創業・事業継承・転廃業の経緯、取り扱い品目の詳細とその移り変わり、かつての流通経路・分業構造・取引慣行などについて出来る限り実態に即した把握を目指した。それを通じて、かつて故繊維産業が東日暮里地区において多数の業者が緻密な分業構造を形成しながらひとつの産業集団として機能していたことを確認し、それが再生羊毛やウエスなどに対する豊かな需要と、都市の浮動的労働者層によって担われていた独特の廃品回収機構を存立条件としていたことを明らかにした。 このような産業集団によって担われた故繊維の流通機構が、今日どのような困難に直面しているのかについては、来年度さらに検討を進める予定である。それにあたっては、繊維製品の価格低下、輸入バージン原料の価格低下、都市の浮動的労働者層の縮小などによる産業集団の存立条件の変化に伴い、故繊維業界が輸出用中古衣料の卸売り業として存続する層と、別種の業種・業態への転業する届との分解へいたっていることを踏まえる必要がある。
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