2004 Fiscal Year Annual Research Report
多重債務と消費者信用にかかわる社会制度の社会学的研究
Project/Area Number |
15730256
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
大山 小夜 金城学院大学, 人間科学部, 講師 (10330333)
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Keywords | 消費者信用 / 破産 / 多重債務 / 法規制 / 専門職 / 国際比較 / 金利の自由化 / 企業逸脱 |
Research Abstract |
次年度(最終年度)に向けて、本年度は、多重債務と消費者信用にかかわる諸制度の広範なデータ収集と主要な議論の論点整理につとめた。その際、特に、法制度と経済制度の関わり(緊張関係)に注目した。以下、交付申請書の「研究実施計画」の項目に沿って報告する。 1.制度間関係……第1に、最高裁データをもちいて戦後日本の消費者信用取引の紛争推移を経年分析した。1970,80年代のいわゆる「サラ金パニック期」後、消費者信用取引はルール化されたにもかかわらず、紛争は急増する。これに伴い、紛争解決は、当事者間の直接交渉のみならず、法律を介した交渉も行われるようになった。以上を明らかにした上で、近年、よく利用されている法律を介した解決策の問題点を指摘した(「図書」第1)。第2に、消費者信用市場と法規制の関わりに関する議論の論点を整理し、これらを価値選択の点から再検討した(「雑誌論文」第3)。第3に、第2の成果をふまえ、消費者信用市場・法規制・行政・多重債務問題の関わりに関する事例研究として「日弁連金利事情調査団」に同行し、韓国の行政・市民団体等を訪問するとともに、現地の貸金業者への聞き取りを行った(現在執筆中)。 2.専門職の事例研究……多重債務者の債務整理の実情把握の一環として、司法書士を対象に行ったサーベイ調査の結果を分析した(じき完成)。 3.企業逸脱の事例研究……消費者金融大手の業務実態に関する「違法性」を報じた記者と掲載紙をめぐる「名誉毀損裁判」ならびに「業務妨害裁判」の傍聴や関係者への聞き取りをおこない、当該事例を多重債務の問題解決の点から検討する意義を問うた(「雑誌論文」第1)。 4.借り手の事例研究……消費者信用取引における紛争解決の実態を、借り手の視点を通じて記述し、これを戦後日本の消費者信用構造のなかに位置づけた(「雑誌論文」第2)。
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Research Products
(4 results)