2005 Fiscal Year Annual Research Report
多重債務と消費者信用にかかわる社会制度の社会学的研究
Project/Area Number |
15730256
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
大山 小夜 金城学院大学, 人間科学部, 助教授 (10330333)
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Keywords | 多重債務 / 消費者信用 / グローバル化 / 韓国 / セーフティネット / 市場規制 / 破産 / 紛争処理 |
Research Abstract |
貸し手側である業者と借り手側である消費者による金銭貸借をめぐる相互作用(消費者信用取引)において、紛争は、多くが複数の業者から借り入れる消費者の返済の遅れに始まる。このため、消費者信用取引の紛争は、一般に、多重債務問題と呼ばれる。破産はその一帰結である。本研究の目的は、紛争当事者が出会う市場、市場で生じた紛争の事後処理と市場に法規制を行う司法、借り手に資源を投与することで紛争の解決を図る行政など、消費者信用と多重債務問題に関わる諸制度の実証研究を通じて、紛争解決のための政策的、社会学的示唆を得ることである。この目的に対し、本年度の研究内容は以下の通りである。 第1は、消費者信用市場のグローバル化にともなう紛争拡大の実態把握と、紛争解決のための国際的取り組みの必要性の提言である。2005年3月末、日本弁護士連合会が消費者信用法制について韓国で現地調査を行った。報告者はこの調査に同行し、帰国後、補足調査を行うことで次の2点を明らかにした。一つは、多重債務問題は、経済の低成長期にある社会において、高い収益性のある消費者信用市場への規制緩和と、市場から脱落する個人への司法的行政的救済制度(セーフティネット)の未整備による不幸な結婚によって生じること。いま一つは、こうした不幸な結婚には、豊富なノウハウと資金力をもつ諸外国業者による市場進出も大きく関わっていることから、多重債務問題の解決には、当該国内だけでなく、国際的取り組みが必要なこと、である。 第2は、消費者信用市場への規制をめぐる論点整理である。市場へ事前に包括的な規制をかけることで紛争を防ぐという意見に対し、近年、市場に規制をかけないかわりにそこで生じる紛争を事後的に個別的に解決すればよいという意見が出されている。そこで、後者の、紛争解決のあり方の代表例として、日本の司法における紛争処理の実態を検討し、その利点と問題点を整理した。
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Research Products
(4 results)