2003 Fiscal Year Annual Research Report
児童福祉施設における要養護児童の生活環境と援助職員の職場環境の関連性に関する研究
Project/Area Number |
15730271
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
潮谷 恵美 久留米大学, 文学部, 講師 (70287910)
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Keywords | 児童養護施設 / 乳児院 / ケアの小規模化 / 職場環境 / 生活環境 |
Research Abstract |
15年度は我が国の児童養護施設や乳児院の職員を対象にした調査等先行研究収集分析を行い、総括し、これまでの職場環境や児童の生活環境に関する知見を確認し、論文にまとめつつある。先行研究総括の結果として、調査実施の年代や調査対象の援助者職種に限らず、援助に関わると指摘されていたのは職場の人間関係、職務の範囲、職種間の認知の差、人員配置、仕事のやりがい、仕事の管理と責任などであることが明らかになった。また、援助者の職場環境や児童の生活環境について他の研究結果や他種施設における差異と比較検討し、課題の相対化ができるような尺度を使った結果はほとんど無いことも確認できた。さらに次年度予定している施設職員の職場環境や職務に関する認知を明らかにする調査に関して調査項目の確定作業を進めた。特にMoos & Insel(1974)が開発したWork Environment Scale (以下WES)を児童養護施設ならびに乳児院などの職場環境評価を把握する尺度として使用することの適否について検討を行った。先行研究の総括から援助職員の仕事や職場環境に関する認知を把握する項目はWESに包括できる得る内容であることは示唆された。さらに職員体制や児童の生活環境の課題検討という視点から、施設開設時から小舎制養護の歴史をもつ施設、20数年前、あるいはここ10年以内にそれぞれ児童の生活環境、ケア単位をより小規模にすべく物理的に改築等を行い、新たな体制による援助を意図的に組み立てる経過を経つつある施設等、取り組みと生活環境形成の経緯が異なる5法人9施設の乳児院、児童養護施設を訪問し、見学、参与観察、施設長もしくは役職者などにインタビューを行った。結果、職務体制や、ケアの要点、子ども達の生活と危機管理のための設備配慮、人員配置と少規模ケアを支える工夫や留意点、課題解決に必要な視点、実践例などを提示いただき、来年度の調査に必要な項目についての考察材料を得た。
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