2005 Fiscal Year Annual Research Report
安心さがし行動が他者からの拒絶に及ぼす対人的影響過程についての検討
Project/Area Number |
15730287
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
長谷川 孝治 信州大学, 人文学部, 助教授 (20341232)
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Keywords | 自尊心 / 安心さがし行動 / 他者からの拒絶 / 他者の自尊心レベル / 抑うつ傾向 |
Research Abstract |
低自尊心者が友人に対して本当に自分のことを大切に思ってくれているかどうかを繰り返し確認するという安心さがし行動を採ることによって、その友人から拒絶され、抑うつ傾向を高めることが示されてきた。さらに、長谷川ら(2004)は、低自尊心者が高自尊心者と友人になり、その人に対して、安心さがしを行った場合に、特に拒絶されることを明らかにした。 今年度は、この検討に基づき、抑うつ傾向に関しても、同様に友人の自尊心レベルが影響を与えるかについて検討した。先述の知見からは、低自尊心者が高自尊の友人に対して安心さがしを行うことが、その友人からの拒絶を引き起こし、同様に抑うつ傾向も高めることが予測される。しかしながら、抑うつの感染効果に関する知見からは、異なる予測が可能となる。Joiner(1994)では、抑うつ者に対してルームメイトが安心さがしを行っても、それに見あう安心を返してくれず、そのためにまるで感染するかのように抑うつを高めることが示された。この知見から考えると、低自尊心者が低自尊の友人に対して安心さがしを行った場合に、低自尊心者の抑うつが高まると予測される。 友人ペアを対象にした2回に渡るパネル調査の結果、抑うつの感染効果からの予測と一致して、低自尊心者が低自尊の友人に対して安心さがしを行うほど、その人の抑うつ傾向が高まることが示された。逆に、低自尊心者が高自尊の友人に対して安心さがしを行っても、抑うつ傾向は高まらないことが示された。これらの結果と先行研究の知見から、低自尊心者は高自尊の友人に対して、安心さがしを行うほど拒絶されるにも関わらず(長谷川ら,2004)、それに気づいておらず抑うつ傾向が高まらないことが示唆される。今後、ペア間の相互作用の詳細について長期に渡るパネル調査を行い、低自尊心者の安心さがし行動が拒絶を経て抑うつ傾向に至る仲介過程をより詳細に検討する必要がある。
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Research Products
(5 results)