2004 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの自己制御学習に関するコーピングモデルの研究
Project/Area Number |
15730292
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
上淵 寿 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (20292998)
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Keywords | 達成目標 / 自己制御学習 / 援助要請 / コーピングモデル |
Research Abstract |
自己制御学習や学習への動機づけに関する実証研究を行った。第1に、自己制御学習に関する発達研究を行った。この研究は、小学校から中学校にかけての横断研究である。学習時における援助要請および情報探索に対する達成目標の影響が,学年により、発達に違いがあるかを,小学校4年生から中学1年生を対象に,調査した。その際に,学年ごとのモデルの潜在変数の同質性を保証するために,多母集団の同時分析を共分散分析により、行った。その結果,有能さを求めることを内容とする学習目標が、援助要請に対する利得感に正の影響を与えることが示された。一方、有能であることを誇示することを内容とする遂行目標が、援助要請の利得感に正の影響をもたらすこと,援助者に対する援助性認知が,援助要請の利得感に正の影響を与えることが示された。また,援助要請の利得感の方が,援助要請の損失感よりも,実際の援助要請行動に影響していた。最後に,情報探索行動には,どの学年においても,学習目標が正の影響を与え,遂行目標は有意な影響を与えなかった。 第2に、自己制御学習において,情動制御と学習方略を包括的に扱うことを目的とした,コーピングモデルを提唱した.このモデルの特徴は、達成目標が,学習場面での情動反応に影響し、それへのコーピングとして、字個性学習方略や負の情動に対する情動制御方略の使用が促されるというものであった。さらにこのモデルには,介入のためにメタ情動変数を組み込んだ,メタ情動とは,情動反応に関する覚知や評価を意味する。これが情動反応を媒介として、あるいは直接的に各方略に影響すると仮定した。このモデルを検証するために、小学生193名を対象に質問紙調査を行った.調査によって集められたデータを共分散構造分析した結果,このモデルを支持する結果を得た.
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Research Products
(2 results)