2003 Fiscal Year Annual Research Report
認知心理学的知見を基盤とした外国語の教授・学習法の構築に関する研究 -外国語の学習過程に影響する認知的要因関係に着目して-
Project/Area Number |
15730300
|
Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
川上 綾子 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助教授 (50291498)
|
Keywords | 外国語 / 認知心理学 / 語彙 / 中学生 / 教授法 / 学習方略 |
Research Abstract |
本研究は,認知心理学研究からの知見を基盤とした外国語の教授・学習法の提案を目的とするものである。外国語の学習過程や成果に対しては,学習目的・内容,学習者の認知特性,学習方略などの認知的要因が交互作用的に影響を及ぼすと考えられる。そこで最終的には,これらの要因の組み合わせに考慮し,学習事態や学習条件の差異に応じた効果的な教授・学習法(特に語彙の習得とリーディングに関するもの)の提案をめざす。 今年度は,語彙の習得を取り上げ,その学習過程や成果に影響を及ぼす要因を探るために,中学生を対象とした質問紙法による2つの調査研究を実施し,さらに教室場面(授業)における語彙の教授法の提案とその効果の検証を行った。 まず調査1では,英語学習に対する目的意識や情意面,学習内容別の苦手意識等に加え,語彙の習得の際に自ら利用する学習方略について訊ねた。主な結果としては,(1)中学入学以前の英語学習経験の有無により英語学習に対する目的意識や重要度の認識等が異なること,(2)学習内容別の苦手意識については,入学以前の学習経験や英語学習への情意面の違いが影響するものとしないものがあること,(3)語彙習得の際には「英単語を日本語の訳語へ変換する」「書いて覚える」などの学習方略がよく用いられる一方,精緻化や音声情報を利用した方略は用いられにくいこと,などが示された。次に調査2では,既習の英単語について意味の分かるものと分からないものとの弁別を求めたところ,教科書中の読み物教材で扱われた新出単語の定着レベルが特に低いことが明らかになった。 以上を踏まえ,読み物教材を対象とした授業における新出単語の教授法として4種類の指導方略を考案し,実際にそれらを利用した授業を実施したところ,当該新出単語の長期記憶への定着に一定の効果を見いだした。また,授業に対する情意面においても概ねポジティブな評価が得られた。
|
Research Products
(1 results)