2004 Fiscal Year Annual Research Report
攻撃行動の生起過程における社会的情報処理と感情処理能力の役割
Project/Area Number |
15730305
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Research Institution | Mimasaka University |
Principal Investigator |
坂井 明子 美作大学, 生活科学部, 助教授 (80299247)
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Keywords | 攻撃性 / 社会的情報処理 / 感情処理過程 |
Research Abstract |
本年度は,攻撃性の3タイプ(反応的表出性攻撃,反応的不表出性攻撃,道具的関係性攻撃)と社会的情報処理過程との関連についてさらなる検討を重ねた.社会的情報処理過程のうち反応評価過程を中心にその特徴を明らかにした研究の成果が,「小学生における3タイプの攻撃性が攻撃反応の評価および結果予期に及ぼす影響(教育心理学研究,52,298-309)」としてまとめられた.また,反応評価過程に感情処理過程を盛り込み,その詳細な特徴を検討するための調査について分析を進めた.この調査は小学児童(4〜6年生)を対象にし,児童用P-R攻撃性質問紙(「小学生用P-R攻撃性質問紙の作成と信頼性,妥当性の検討(心理学研究,75,254-261.)」で標準化を完了)と共に,本研究のために作成した質問紙を使用した.表出性攻撃・関係性攻撃の各攻撃性が高い児童は低攻撃児に比べ,攻撃行動喚起事態での攻撃行動の社会的情報処理(反応評価)に歪みを示したが,特に高関係性攻撃児の社会的情報処理の歪みは多岐にわたり,彼らが学校現場での問題となる可能性を示唆した.さらに,高関係性攻撃児は相手から実際に被害を受けるという,攻撃行動喚起事態の程度が高い場合に相手に対する共感を低下させており,それが彼らが関係性攻撃行動を実際にとる一因である可能性が示された,さらに,内外の研究の文献的検討をおこない,成人の研究で問題とされている健康状態や児童のその後の発達との関連が重要視されている適応について論じた.その成果は「児童の攻撃性と適応および健康(美作大学・美作大学短期大学部紀要,50,1-6.)」としてまとめられた.
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Research Products
(3 results)