2003 Fiscal Year Annual Research Report
抑うつと不安が日常の認知的失敗の発生に及ぼす影響―自発性欠損説からの検討―
Project/Area Number |
15730308
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山中 亮 東北大学, 大学院・教育学研究科, 助手 (20337207)
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Keywords | 認知的失敗 / 抑うつ / 不安 / 自発性欠損説 / 認知的失敗低減方略 |
Research Abstract |
本年度の研究では,抑うつ・不安傾向と認知的失敗低減方略利用頻度の関連を明らかにすることを目的とした調査を実施した. 【方法】 調査対象:質問紙に不備のあった者を除いたT大学学部学生216名(男96名,女120名)を分析対象とした.平均年齢は,18.25歳(SD=0.49)であった. 抑うつ・不安測定:抑うつ傾向は,BDI(林,1988)によって測定し,不安傾向はSTAI日本版(中里・水口,1982)の特性不安尺度によって測定した. 失敗低減方略利用頻度測定:失敗低減方略利用頻度尺度(山中,2002)を用いた.この尺度は,"外的記憶補助","記憶術","時計・携帯利用","指差し","確認"という5つの下位尺度から構成されている. 以上の質問紙をまとめたものを配布して,その場で回収した. 【結果と考察】 群の設定:平均値を基準に,BDI得点が12点以上の者を抑うつ高群,11点以下の者を抑うつ低群とした.またSTAI得点が54点以上の者を不安高群,53点以下の者を不安低群とした. 抑うつ・不安傾向と失敗低減方略頻度尺度との関連:失敗低減方略利用頻度尺度の5下位尺度について,それぞれ抑うつ(高・低)×不安(高・低)の分散分析を行なった.その結果,"外的記憶補助"において抑うつ傾向の主効果がみられた(F(1,212)=3.92,P<.05).抑うつ高群が低群に比べて"外的記憶補助"を頻繁に利用することが明らかになった. 以上のように,本調査では,不安や抑うつが失敗低減方略の利用を制限することは明確にならなかった.ただし,抑うつが高い場合には,比較的利用上の負担が少ないと考えられる"外的記憶補助"に依存する傾向があることが示された.
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Research Products
(1 results)