2005 Fiscal Year Annual Research Report
学習障害児の不適応問題と社会的スキルの関係に関する研究と援助プログラムの開発
Project/Area Number |
15730322
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
戸ケ崎 泰子 宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (40300040)
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Keywords | 学習障害児 / 学校不適応 / 社会的スキル訓練 / 学習支援 / 特別支援教育 |
Research Abstract |
本研究は、学習障害児が抱えている不適応問題とはどのようなものかを明らかにし、学習障害児の不適応問題を軽減するための有効な支援方法とは何かを考えることを目的とするものである。 研究1では、学習障害児の保護者を対象として、学習面、行動面、情動面、社会性の領域にどのような困難を感じているかの調査を実施した。その結果、保護者が感じる困難は多岐にわたっており、個人差が大きいものの、いくつかの特徴的な困難が明らかにされた。 研究2では、特別支援教育の推進には普通学級の教師や共に学ぶ他の生徒の受け入れの態勢が整っていることが必要であることから、普通学級に所属している中学生を対象として、特殊学級の知的障害児との交流や障害・障害者への理解に関する意識に関する調査を実施した。その結果、(1)知っている特殊学級の生徒が多いほど、授業や学校の行事に障害児を受け入れる意識が高く、障害者へのポジティブな意識が強いほど、授業や学校の行事に障害児を受け入れる意識が高いことが明らかにされた。以上の結果から、特殊学級の生徒と関わって楽しかったという経験を持てるような授業の進め方の工夫や楽しい活動の計画が大切であることが示唆された。 研究3では、学校でいじめや学習不振などさまざまな不適応問題を抱えている学習障害児を対象に学習支援、社会的スキル訓練などを含めた支援プログラムを実施し、その効果を検証した。学習支援は、あらかじめ保護者から学力の程度を確認し、対象児の知的な特徴に合わせたカリキュラムを作成した。また、支援プログラムには、保護者も参加し、子どもと適切な相互作用がもてるように支援した。その結果、個人差はあるものの、行動面、認知面、そして不適応状態が改善する傾向にあることがうかがえた。また、学校でも友だちができたとか、プログラムで取り上げた内容を家庭でも実践している、子どもへの接し方を学ぶことができたといったエピソードも聴取でき、本プログラムの効果性が確認できた。
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