2005 Fiscal Year Annual Research Report
家畜豚における道具的学習事態の開発と基礎的認知・学習能力に関する研究
Project/Area Number |
15730332
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
谷内 通 金沢大学, 文学部, 助教授 (40324058)
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Keywords | ブタ / オペラント条件づけ / 採餌方略 / 観察学習 / 離散オペラント / セルフ・スタート / 視覚弁別 |
Research Abstract |
本年度は第一に,昨年度に引き続き,レバー押し行動のオペラント条件づけにおいて,操作子であるレバーと給餌場所である餌箱の距離を数段階で操作する実験を行った。その結果,餌箱で採餌するまでのレバー押し回数は操作子と餌箱の距離の大きさと比例して増加することが明らかとなった。このことから,ブタは操作子と給餌場所の往復に要する運動コストを低減するためにレバーのまとめ押しによる餌のため込み行動を行っていることが示された。また,この実験による副次的な知見として,ブタは豚房内の操作子と畜舎内の通路に置かれた餌箱間の比較的長距離を安定して"自発的に"往復可能であることが確認された。この知見は,報酬訓練による産業場面によるブタの行動制御に応用可能性を持つと考えられる。 第二に,ブタにおける観察学習の可能性について検討した。モデルブタにレバー押しを学習させた。被験体である観察ブタについては,モデル観察セッションと自らの試行錯誤セッションを交互に実施し,モデル観察がレバー押し行動の試行錯誤学習を促進する可能性について検討した。しかし,明確なモデル観察の効果を確認するには至らなかった。観察学習のメカニズムと本研究自体の関連性について理論的に検討した。 第三に,視覚弁別等の検討には,離散オペラントと呼ばれる学習事態を用いて,反応毎に刺激パネル等の操作子から動物を離れきせることが必要である。しかし,従来の研究では,成ブタを自在に移動させる技術がないために,ミニブタや子ブタを使用せざるを得なかった。この問題について,刺激提示を条件性強化子とした逐次接近法を用いることにより,反応後に操作子,(弁別刺激)から自発的に離れさせる行動を形成し,セルフ・スタート型試行を成ブタに学習させることに成功した。この事態において,白黒の視覚弁別学習の成立を確認した。
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Research Products
(1 results)