2003 Fiscal Year Annual Research Report
視覚・聴覚・触覚による共同注意に関する発達的研究-健常児・視覚障害児を対象にして-
Project/Area Number |
15730343
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Research Institution | Toyama College |
Principal Investigator |
矢藤 優子 富山短期大学, 幼児教育学科, 講師 (20352784)
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Keywords | 共同注意 / 聴覚・触覚による共同注意 / 母子相互作用 / 視覚障害児 / 行動分析 |
Research Abstract |
同じ対象への注意を他者と共有することを「共同注意(joint attention)」という。共同注意研究に関して、先行研究では「同じ対象を見る」という視覚的な共同注意のみが扱われており、聴覚や触覚などの感覚モダリティによる共同注意が看過されてきたことを踏まえ、本研究では視覚モダリティを越えた視点から共同注意について明らかにすることを目的とした。 また、従来の共同注意研究のように子どもの語彙獲得などの認知発達的側面を扱うばかりでなく、共同注意が日常場面などの社会的文脈の中でどのようになされているか、またそれは子どもの発達に応じてどのように変化するのか、という社会発達的側面についても明らかにするため、母子の共同注意を中心とする日常的な文脈の中での相互交渉について、子どもの発達的変化を視野に入れた行動分析を行うことを目的とした。 国立特殊教育総合研究所、東京都立久我山盲学校、および杏林アイセンターが主催する「盲学校探検プログラム」への参加者の中から視覚障害を持つ乳幼児とその母親を研究協力者として募った。本年度4月より3名の児とその母親の行動観察を開始し、4月以降、順次、国立特殊教育総合研究所等の機関との連携を取りながら対象となる研究協力者を増やすが、対象児や研究方法の性質上、研究協力者と十分なラポールを形成し倫理面でも配慮を行うことが必要である。研究方法としては1ヵ月に1回の頻度で約1年間家庭訪問を行うことによって母子のおもちゃ遊び場面をビデオカメラにより撮影し、縦断的な行動観察を行う。おもちゃは、視覚障害を持つ子どもが操作可能なデザインのものを選定し、母親との聴覚・触覚による共同注意が引き出せるよう配慮した。
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