2005 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期におけるプロジェクト活動の展開可能性と評価方法に関する研究
Project/Area Number |
15730351
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
服部 敬子 京都府立大学, 福祉社会学部, 助教授 (70324275)
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Keywords | 保育 / プロジェクト活動 / 観察 / well-being / involvement / 評価 |
Research Abstract |
本年度の研究はフィールドワークを中心に行い、プロジェクト活動を展開していく際のスーパーバイザーとして保育活動に参与するとともに、評価方法に関するアンケート調査を行った。 まず、3〜5歳児の保護者らに、子どもたちの家庭生活での姿をたずねるアンケート調査を行った。その結果、(1)身辺自立に関する定量分析では4歳児-5歳児クラス間には有意な差がなく、3歳児-4歳児クラス間の差が大きい項目が多いこと、(2)自由記述の分析からは、3歳児の場合、「自分でやる時とやらない時の差がはげしい」、5歳児に関しては、「一人でやるが手抜きする」という点で保護者が問題を感じていることがわかった。そこで、各クラスにおいて「からだ」に関するトピックをプロジェクト活動として展開させることを試みた。3歳児クラスでは、他者と比べて差異に敏感になるという発達的特徴をふまえて、友だちどうしで身体のさまざまな部分を比べ合い、大きさや皮膚の色、男女の違いなどを言葉や描画、粘土を使って表現していった。現実吟味の力がそなわってくる5歳児は、「見えないけれどもある」もの、身体内部の臓器や「ばい菌」の実際を調べる方向へと展開し、普段食べている魚と人間との共通性(背骨など)や、しっかり手を洗うことの重要性などに気づいていった。 次いで、"A Process-Oriented Child Monitoring System for Young Children"(Experimential Education Series, no.2)に基づいて、保育場面で観察されるwell-being及びinvolvementのレベルを一人ひとりについてスクリーニングすることを試みた。日常的にinvolvementの程度が低かった子どもの中に、プロジェクト活動の展開過程においてそれが高まったケースがあったことは特記すべき結果であったが、well-beingの指標はやはり家庭環境との関連が強く短期的な変動はみられなかった。また、保育者の経験年数が少ないほど、involvementの指標よりも「できるかできないか」に観察が焦点化される傾向がみられた。
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Research Products
(2 results)