2004 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける大学改革に対する大学評価の影響に関する研究
Project/Area Number |
15730362
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
服部 憲児 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (10274135)
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Keywords | 大学評価 / 大学改革 / フランス |
Research Abstract |
本研究は、フランスにおけるCNE(全国大学評価委員会)の個別大学評価を主たる対象とし、評価と改革を一体的に捉え、それが各大学の改革に対して与えた影響、すなわち個別大学の改革に対するCNEによる評価の有効性を明らかにすることを目的としている。 この研究課題を明らかにするため、平成17年度は、(1)CNEによる個別大学評価の方法論の分析、(2)CNEの評価が各大学の改革に貢献した点および貢献し得なかった点の分析、(3)評価が改革に貢献し得なかった原因の考察、の3点を中心に研究を行ってきた。 (1)については、CNEの評価基準が昨年度より変更になったため、渡仏調査で入手した新しい「評価基準書」(Livre des references)と、16年度に訳出した従前の「大学評価ガイド」(Guide de l'* valuation des universit*s)との比較分析を現在行っている。 (2)および(3)については、CNEによる個別大学評価報告書の分析、および、フランスにおける現地調査から、主として以下の3点が明らかになった。(1)個別大学評価に基づいたCNEの勧告の多くについて、各大学で実際に改革がなされている。その主な理由としては、評価の段階で既に改革を視野に入れてCNEと大学側が綿密な議論を交わしていること、その際にCNEは大学の意向を最大限尊重していること、少なくとも大学の執行部は、CNEの評価を改革を実施する根拠のとして位置づけていることが挙げられる。(2)CNEの評価が改革に結び付かなかった事柄については、大きく、CNEの勧告を受けつつも大学の判断でそれを実行しなかった場合と、CNEの勧告には同意するが法制的・財政的理由によって実施できない場合とに分けられる。いずれの場合もCNEは大学の判断を尊重している。(3)評価に基づく改革がより良く実施されるために新たな取り組みがなされている。すなわち、2000年度より試行的に評価後のフォローアップ(評価2年後に改善状況をチェックする)が実施されている。
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