2004 Fiscal Year Annual Research Report
デンマーク及びドイツ国民高等学校の運営を手がかりとした公民館の診断・評価の研究
Project/Area Number |
15730363
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
原 義彦 秋田大学, 教育文化学部, 助教授 (70284825)
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Keywords | 公民館 / 国民高等学校 / 成人教育施設 / 倫理決算 / LQW / 診断 / 評価 |
Research Abstract |
平成15年度のデンマーク、ドイツの実地調査の補足および、その後の国民高等学校(フォルケホイスコーレ、フォルクスホッホシューレ)の評価の進展経過を調査するため、デンマーク・オーフス郊外のフォルケホイスコーレ、エグモント・ホイスコーレンと、ドイツ・ベルリンのフォルクスホッホシューレ、ベルリン・ミッテおよびアートセット研究所を訪問した。 デンマークのフォルケホイスコーレの評価は現在のところ各学校の自己評価で行われており、その方法も未確立である。そのような中、エグモント・ホイスコーレンではデンマークで開発された組織評価の方法である「倫理プロセス」または「倫理決算」(etiske rengskab)を用いて、学校に関わりをもつすべての人、組織、団体(教員、学生、事務職員、調理担当者、物品納入業者等)が学校の目標や運営の在り方などについて協議を行っている。つまり、学校に関わるすべての人、組織、団体が同意のもので学校を運営していくことを重視した考え方である。 ドイツにおいては、アートセット研究所が中心となって、学校教育、成人教育の評価の理念と方法を示している。ここではLQW(Lernerorientierte Qualitat)という名称で、学習段階に応じて教育施設や学習機械提供者が行うべき内容や配慮すべき内容があげられている。この評価理論と方法は品質管理の国際標準であるISOの考え方に基づいているという。学習の結果や成果の質を向上させるという考え方で、それが各学習段階での提供者側の行為や配慮によるものと考えている。 デンマークにおいても、また、ドイツにおいても共通しているのは学習や教育の結果や成果がどうであったかではなく、それに至るプロセスを重視している点である。学習や教育のプロセスにおいて必要なことを配慮することがよい結果や成果を生み出すという考えに基づいている。 日本では、公民館をはじめ、施設、事業、行政の評価はほとんどが結果(アウトプット)や成果(アウトカム)の評価になっている。そうした評価はあくまで結果や成果の事実を評価するだけであり、そうした結果や成果を生み出すプロセスの評価方法が必要であると考えられる。公民館においても、倫理決算、LQWの方法を参考にした評価モデルの構築が急務である。
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