2003 Fiscal Year Annual Research Report
明治期の教育関係書にみる発達概念の登場と近代日本の大人-子ども関係
Project/Area Number |
15730364
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
前田 晶子 鹿児島大学, 教育学部, 講師 (10347081)
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Keywords | 発達と発生 / 翻訳育児書 / 児童研究 / 小児医学史 / 心理学史 / 子ども観 |
Research Abstract |
今年度は明治期の育児書類の調査及び資料の収集を中心に研究を進めた。これらの資料を分類する中で、特に初期の翻訳育児書が発達概念の形成に影響力をもったことが仮説的に浮かび上がってきた。これらについては、現在原書(英語、ドイツ語)の収集を行っており、今後は翻訳語彙及び内容の対象作業に入っていきたいと考えている。 また教育思想史学会における発表では、明治初期に「発達」がdevelopmentの対訳語として定着していく際の日本的特徴について報告した。すなわち、西洋発達概念の受容過程で、日本では子どもの成長についての発生学的理解が進まなかったのではないかという問題提起を行った。現在、当学会の紀要に提出するための論文を準備中である。 [平成16年度の研究実績] 1)資料の収集状況及びデータベースの作成 (1)明治前期の育児書類(国会図書館所蔵)の収集(20点) (2)明治期の育児書類(国会図書館所蔵)のデータベース作成(200点) (3)明治期女学校における教科書採択に関する文書(東京都公文書館所蔵) 2)学会発表 (1)教育思想史学会第13回大会(2003年9月28日、於目白大学) コロキウム「日本の近代教育における『近代』と『西洋』のあいだ」 (発表題目:発達概念の翻訳過程にみる成長論の「近代」) 来年度は、1890年代の児童研究の資料を中心に収集し、育児書類との関連性を考察する。そこから、明治期の子ども理解における「発達」概念の役割を明らかにしていきたい。
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