2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代沖縄における標準語教育実践史研究-学校と地域との関係に注目して-
Project/Area Number |
15730366
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
近藤 健一郎 愛知県立大学, 文学部, 助教授 (80291582)
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Keywords | 標準語教育 / 方言札 / 学校記念誌 / 近代沖縄 / 沖縄県用尋常小学読本 |
Research Abstract |
1、昨年度から引き続き、沖縄県内の小学校が刊行した学校記念誌に掲載された回想記録や座談会記録を資料として、近代沖縄における方言札の実態について調査を行った。本年度をもって、沖縄県全域で調査可能な学校記念誌をすべて調査することができた。それらはすべて、資料紹介として『愛知県立大学文学部論集』第47〜53号に掲載した。 2、上記調査により、近代沖縄における方言札について、どの時期にどのように存在していたのかという基礎的事項の解明を行い、『南島史学』第63号に論考を発表した。それにより、方言札は1904年頃に、他府県並みを志向する沖縄県政のもと、標準語教育の徹底を推進すべく登場し、そののち沖縄各地へ普及し1940年代前半までのあらゆる時期に存在していたこと、児童は方言札を持っていることを何とか免れようとし、また渡されないようにと様々な対応をし、結果としていわば弱い者いじめのように方言札を押しつけるような教室環境が作られたことを明らかにした。 3、方言札出現直前の時期に沖縄において用いられていた文部省編纂『沖縄県用尋常小学読本』に基づく標準語教育実践及びその論理について、『国語科教育』第56集に論考を発表した。それにより、標準語教育実践は、1900年代前半を境として、沖縄言葉(いわゆる沖縄方言)を不可欠な媒介として用いる方法から、沖縄言葉を最小限にとどめ標準語による方法へと移行しようとしていたことを明らかにした。 4、これらの成果を踏まえて、一方では沖縄における標準語教育実践を教師の多様な意識や実践を引き続き解明しつつ、他方では沖縄における標準語教育実践の特徴について植民地を含む他地域との比較において解明していくことが今後の課題として残されている。
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Research Products
(5 results)