2004 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ近代教育学における「力」と「人間形成」の関わりの問題
Project/Area Number |
15730369
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
相澤 伸幸 京都教育大学, 教育学部, 助教授 (20331259)
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Keywords | 教育学 / 教育哲学 / 人間形成論 / ドイツ / ニーチェ / 力 / ヘルダー |
Research Abstract |
本年度の研究では、ニーチェ(Friedrich Wilhelm Nietzsche,1844-1900)の主要概念である「力への意志(der Wille zur Macht)」等の考え方が、彼の実際の教育者としての活動のなかで、どのようにして形成されていったのかを解明しようと試みた。 詳しく述べると、教育学におけるニーチェ受容でもなく、あるいは彼の<自己>教育思想を究明してきた先行研究とも違った側面からのアプローチを試みた。すなわちニーチェが「教育者(Erzieher)」あるいは「教師(Lehrer)」という存在やその役割や活動などについてどのように考えたのか、という視点からの考察である。この考察で意図しているのは、ニーチェが具体的に「教育者」や「教師」をどのように考え、あるいは教育活動したのかを探り、それが彼の教師論にどのように集成されていったかを知ることである。その問題意識はニーチェを教育学的に研究する上で避けては通れない。なぜなら、ニーチェは哲学者でもあったが、その前に一介の教師でもあった。彼自身がかかわっている教育について、ニーチェは具体的にどのように考え、実践し、そしてそれを著作に反映させていったのかを勘案することは、ニーチェの教育学思想を知る上で不可欠である。またそのような具体的な教師活動が、彼の教育観の形成に関して、いかなる影響を与えるに至ったのかについて考察し、それを論文にまとめた。 さらに並行して、ドイツの近代教育学での重要な概念であるBildung(人間形成)について、先駆的な思索をしたヘルダーについても考察を行っている。これについては、まだまとめ切れていない部分があるが、来年をめどに形にすることができるであろう。
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Research Products
(2 results)