2004 Fiscal Year Annual Research Report
死の教育の臨床教育学的研究-乳幼児期に焦点付けて-
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15730371
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Research Institution | Shijonawate Gakuen Junior College |
Principal Investigator |
工藤 真由美 四條畷学園短期大学, 保育学科, 助教授 (80310788)
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Keywords | 生と死の教育 / 保育者養成課程 / 意識調査 / 発達段階 / 対話 / 臨床教育学 / 乳幼児 |
Research Abstract |
これまでの研究で、いのちの大切さ・死の問題を子どもに教えるには、まず乳幼児期からの発達段階に即した子どもとの死に関することの対話が重要であるとしたが、現実は子どもと死をみつめつつ生の重さを語り実感させるべき大人が、死について語るべき内容や言葉を持ち合わせていない。そこで子どもが乳幼児期から死を含んだ生の重要性を内包させて成長することを促すためには、乳幼児に携わる人間の意識に迫ることが重要だと考え、本年は将来保育者、教育者になる保育者養成課程に在籍する学生の意識調査をおこなった。その結果、本調査を通して対象とした保育者養成課程在籍学生は、1、現代社会を、いのちを巡る問題が軽視された社会であり、子どもが引き起こす事件が増加・低年齢化し、また子ども自身がいのちを落とすような事件に巻き込まれることが多いと見ている。2、そのような社会で、子どもにいのちの大切さや死の問題を教えることは可能かつ重要であり、しかも幼い年齢から教えることが可能だと考えている。3、彼らの中で身近な人の死を経験し、,他の大人からいのちの大切さや死について助言してもらったものほど、子どもとの死の問題に対する対話の重要性を認識している。これはペットの死を経験したものにも同じ傾向が見られる。4、死について特に学んだ経験がないというものほど、子どもにいのちの大切さを教える年齢を高い年齢を選ぶ傾向があり、死への知識、関心、実感のないものが多い。5、子どもにいのちの大切さ・死の問題を教える方法として絵本の読み聞かせを選択するものが大勢を占めたが、教材開発としてのいのちの大切さを取り扱う絵本の作成と、それの教育・保育場面での取り扱い方が課題である。6、子どもにいのちの大切さや死の問題を教える方法として、宗教教育を取り上げたものは1.6%に過ぎず、社会全体に、いのちの大切さや死の問題を内在化させて生きていこうという土壌がない。教育はどこまでそれをカバーできるのか。保育者養成課程の中で彼らにそのような教育を施し、彼らに現場で実践してもらうカリキュラム作りが今後の課題である。
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