2003 Fiscal Year Annual Research Report
市場経済移行期の中国とベトナムにおける国立大学のマネジメント改革に関する比較研究
Project/Area Number |
15730375
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近田 政博 名古屋大学, 高等教育研究センター, 助教授 (80281062)
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Keywords | 国立大学 / 中国 / ベトナム / マネジメント / 市場経済化 |
Research Abstract |
今年度は、ベトナムの国立大学のマネジメント改革について現地調査を行った。具体的には、教育訓練省、教育戦略・カリキュラム研究院、ハノイ市国家大学、ホーチミン市国家大学を訪問し、資料収集、面接調査を行った。調査の結果、以下のことが明らかになった。 ・ベトナムでは『教育発展戦略2001-2010』の中で高等教育の中期目標を定めている。それらは、a)高水準人材の養成ニーズを満たすこと、b)教育課程の多様化を通じて、中等後教育の機会拡充に有利な条件を作り出す、c)社会において職業への適応能力を高める、の3点である。 ・現在準備を進めている大学基準認定制度の特徴は、基準認定の責任機関が教育訓練省の主導・設立による純然たる国家機関となっていること、および成果に応じた資源配分が明文化されていることである。大学相互の品質保証として基準認定が定着している先進諸国と比較すれば、ベトナムが準備している基準認定の方式は、行政による「上からの基準認定」としての性格が強いといえる。 ・大学レベルの戦略策定能力を高める手段として、ハノイとホーチミンの2つの国家大学に専門のセンターが設置された。両者に共通するのは「品質」(chat luong)という名称である。ともに評価項目・基準の設定、自己評価報告書の作成、自大学の戦略策定を主たる任務としている。ベトナムでは、基幹大学においてようやく戦略策定の土台となる自己評価活動が緒についたばかりの段階であるといえる。 このように、現在のベトナム高等教育を貫く主題は、一貫して「質をどう高めるか」である。基準認定の法案づくり、国家大学における基準認定対応のセンターの設置などは、いずれも高等教育の質を高めるための手段である。ベトナム政府は世界標準とされている手法・内容を習得しつつ、ベトナムの実状に即してこれを適応しようとしている。しかし、その意図が各大学レベルに浸透するには、まだ長い時間と労力を要するであろう。
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Research Products
(2 results)