2003 Fiscal Year Annual Research Report
戦後教育改革期における戦前の数学教育の継承と発展に関する研究
Project/Area Number |
15730391
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
蒔苗 直道 愛知教育大学, 教育学部, 助手 (40345939)
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Keywords | 戦後教育改革 / 数学教育 / 学習指導要領(試案) / GHQ / SCAP文書 |
Research Abstract |
戦後教育改革期の数学教育に対する再検討における最も根本的な問題は,生活単元学習の学習指導要領(試案)に示された数学教育の目標や指導への示唆が,どのような経緯の下に書かれ,どのような意図をもっていたのかを明らかにすることである。このため,本研究では,国立国会図書館(東京本館)の憲政資料室において,当時の占領軍による日本統治記録であるGHQ/SCAP文書の調査,収集を行った。この資料には,学習指導要領(試案)編集の過程における文部省の担当者と占領軍との交渉の記録が残されており,本年度は,この収集を中心に研究を進めた。 本年度に収集された資料からは,昭和26年の学習指導要領(試案)の中学校数学科,高等学校数学科の編集過程を読み取ることができた。特に,数学科の目標をつくる過程では,文部省の担当者と占領軍の間で度重なる検討が行われていた。文部省の担当者は,占領軍からの要求で修正に修正を重ねつつ,2年以上の歳月をかけて目標の承認を取っている。ここから,従来の数学の内容に関する知識や技能に関する項目のみではなく,能力,態度,心構え,習慣といった新しい項日が取り入れられた経緯が明らかになった。また,これらに関する文部省の担当官の説明について,日本数学教育学会における講演から裏づけを行った。 また,この他の収集した資料についても分析を進めているとともに,デジタル化,テキスト化,日本語訳し資料集としてまとめている。
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