2003 Fiscal Year Annual Research Report
生活主義音楽教育における創造性開発理論についての基礎的研究
Project/Area Number |
15730399
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
荒巻 治美 佐賀大学, 文化教育学部, 助教授 (40315180)
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Keywords | 創造性 / 生活主義 / 音楽教育 |
Research Abstract |
本年度は、アメリカの音楽科教育において生活主義・創造性開発主義の原理が台頭した1920-1960年代の資料収集を中心的に行った。 収集した資料の検討によって、現在まで次のようなことが明らかになっている。 ・1920-60年代における音楽教育は、1890-1910年代音楽科成立期の芸術主義・鑑賞主義の原理から生活主義・創造性開発主義の原理に基づくものへと取って代わった。 ・創造性開発を目指す音楽学習の原理と方法を構想した主要な音楽教育理論家・実践家としてコロンビア大学教育学部教授L.B.ピッツ(Lilla Belle Pitts)と、同大学附属リンカーン・スクールに所属していたS.N.コールマン(Satis N.Coleman)がいる。 ・ピッツは、主著である『移りゆく世界における音楽カリキュラム』(The Music Curriculum in a Changing World)において、生活主義音楽教育が台頭した背景、生活や教育における音楽の意義を明らかにし、その原理に基づいた音楽カリキュラムを提案した。さらに、その理論を基盤として音楽教科書も編纂した。コールマンは、子どもの創造性開発を目指して、楽器作り、演奏、歌作り、歌唱など表現活動を中心とした音楽学習指導を展開した。 ・この期の他の資料としては、『音楽教育双書』(Music Education Series)『音楽の世界』(World of Music、)などの音楽教科書を、他の音楽教育関係者としては、コールマンの研究協力者であり幼児期音楽学習指導を構想したA.G.ソーン(Alice G.Thorn)などの存在を新たに確認している。
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