2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15740040
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
猿子 幸弘 佐賀大学, 理工学部, 講師 (00315178)
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Keywords | 理想境界 / 比較幾何 / 放射曲率 / 測地線 / 極 / 平面公理 / 捩り積空間 |
Research Abstract |
曲率の下限に制限をもつ非有界完備リーマン多様体のコンパクト化が主な研究であり、M.グロモフが導入したティッツ理想境界(無限遠点)を空間のスケーリングにより具体化させた。特に放射曲率に制限をもつリーマン多様体のクラスを扱った。断面曲率が非正なリーマン多様体における半直線の漸近類を、自然な形で非負断面曲率・非有界完備リーマン多様体へ導入出来ることは知られていた。猿子・永野・大塚の共著では、ガウス曲率が非正な回転面を比較空間にもつリーマン多様体のクラスに対し半直線の漸近類が意味を持つことを確認し、多様体のスケーリング極限が、グロモフ-ハウスドルフ位相に関し、理想境界上の錐に収束することを示した。 塩濱勝博氏との共同研究では、今までの1点からの放射曲率が下から押さえられたリーマン多様体のカテゴリーをも含む、超曲面からの放射曲率の挙動を研究した。まず、放射曲率が超曲面からの距離にしか依存しないリーマン多様体は7つのタイプに分類出来ることを証明した。この7タイプを比較空間として一般化された測地三角形に対する比較定理を証明し、最大直径定理・剛性定理の証明や、今までにない収束(特に崩壊)の状況を捉えることに成功した。 上述の論文から派生した問題であるが、回転面モデルの極集合のサイズの新しい評価が得られた。リーマン多様体の極とは、最小跡が空集合である点のことである。結果を要約すると、超曲面を底空間に持つ振り積空間は平面公理を満たすというものであるが、この結果は塩濱氏との共著として、Kyushu Journal of Mathに発表予定である。更に、多様体同士の捩り積多様体ではなく、アレキサンダー-ビショップとチェンにより導入された距離空間同士の捩り積空間を考えた。彼らの空間設定や証明の不備を訂正し、クレローの関係式や平面公理が成立することを証明した。これは熊本大学で行われた研究集会で発表した。
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Research Products
(2 results)