2005 Fiscal Year Annual Research Report
複素多様体上の(不定値)ケーラー計量の幾何学とその一般化に関する研究
Project/Area Number |
15740048
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
鎌田 博行 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (00249799)
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Keywords | ケーラー計量 / スカラー曲率 / 板東・カラビ・二木の障害 / ヒルツェブルフ曲面 |
Research Abstract |
本研究は、コンパクト複素曲面におけるスカラー平坦不定値ケーラー計量(自己双対な不定値ケーラー計量)の存在問題に端を発す。その研究過程の中で、板東・カラビ・二木の障害と呼ばれるスカラー曲率が一定な正定値ケーラー計量の存在に対する障害を、不定値の場合に一般化する必要があり、その障害のケーラー類に対するwell-defined性は、正定値の場合に比べて、幾つかの余分な条件が仮走することによって保証される。具体的には、ケーラー類と正則ベクトル場に対する次の条件(i)(ii)が要請された:(i)「ケーラー類が有理的であり、正則線束の第一チャーン類の実数倍として実現される。」(ii)「(i)の正則線束上に正則ベクトル場が正則に持ち上がる。」これまでこの障害を用いて、スカラー平坦不定値ケーラー計量、さらにスカラー曲率一定の不定値ケーラー計量の存在問題を考察してきたが、特に、ヒルツェブルフ曲面と呼ばれる有理曲面におけるスカラー曲率が一定な(不定値)ケーラー計量の存在に対する必要十分条件として、そのランクが0、即ち、複素射影直線の直積に双正則でなければならないことを示した。その際、有理的とは限らないケーラー類に対して板東・カラビ・二木の障害をさらに一般化する必要があったが、今年度は、不定値の場合へ板東・カラビ・二木の障害を一般化するために仮定した幾つかの条件について、それらの役割などを精査することにより、これまでの結果の高次元化を考察した。これらについては、先に述べたヒルツェブルフ曲面に対する結果と共にプレプリントとしてまとめてある。
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