2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15740049
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
中野 史彦 高知大学, 理学部, 助教授 (10291246)
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Keywords | ランダムシュレーディンガー作用素 / ポアソンモデル / ライングラフ / スペクトルの揺らぎ |
Research Abstract |
(1)ポアソンモデルのスペクトルの決定 ポアソン分布に従ってランダムに配置した粒子の作るポテンシャルの下での電子の運動を記述するポアソンモデルの、確率1で定まるスペクトルを決定した。予想は、シングルサイトポテンシャルが非負であればスペクトルは正の実軸に、そうでなければスペクトルは実数全体と一致する、というものであったが、2次元以外ではこれが正しいことがわかった。しかし、2次元では、シングルサイトポテンシャルがある特別な条件を満たすときに、スペクトルに1つギャップが現われる可能性を否定できない。 (2)ライングラフ上のランダムシュレーディンガー作用素 ライングラフ上におけるランダムシュレーディンガー作用素を考え、そのスペクトル下端近傍での状態密度、対応する一般化固有関数の性質を調べた。スペクトル下端における状態密度は、ランダムボテンシャルの分布の特異性の有無に依り、異なる挙動を示す。また、対応する固有関数は(正方格子の場合とは異なり)有限個のサイト上でのみ0でない値をとることがあるが、この性質についてもポテンシャルがランダムな場合とそうでない場合とでは相違が見られる。 (3)ランダムシュレーディンガー作用素のスペグトルの揺らぎ 2次元正方格子上のランダムな磁場を持つシュレーディンガー作用素について、対応する有限系の固有値をその体積の分だけ引き延ばして得られる点過程の体積無限大極限での挙動を調べた。収束部分列が常に存在すること、その弱収束先は無限分解可能な点過程であることがわかった。目標はこの収束先がポアソン点過程であることを示すことであるが、このことは証明できなかった.
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Research Products
(2 results)