2004 Fiscal Year Annual Research Report
単体的複体のトポロジー的組合せ論とグラフの非巡回的向き付け上の最適化問題の研究
Project/Area Number |
15740052
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
八森 正泰 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 講師 (00344862)
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Keywords | 単体的複体 / シェラビリティー / 組合せ分割 / 有向グラフ / 非巡回的向き付け / ポセット |
Research Abstract |
昨年度までに,単体的複体の場合に,ファセットとリッジの接続グラフの非巡回的向き付けに対して,ある条件下である目的関数を最小化することによってシェラビリティーを特徴づけすることができることを示していたが,本年度は,これを,ポセット上の符号付け可能性(signability)という性質に非巡回性を付加した「非巡回的符号付け可能性」(acyclic signability)という概念として捉え直すことができることに着目し,これを単体的な場合のみでなく,一般の正則セル複体のシェラビリティーの特徴づけに一般化する結果を得た.これは,「再帰的非巡回的符号付け可能性」(recursive acyclic signability)という概念として定義される.(2004年度応用数学合同研究集会にて.) また,昨年,立方的な場合にある種の非巡回的向き付けに対して,臨界ファセットをうまく定義することによってモースの不等式を与える結果を得ていたが,これを正則セル複体に拡張する上で基礎となる,正則セル複体に関するベッチ数の評価を与える手法を考察した.(日本数学会秋期総合分科会にて.)これはまだ大きい成果には至っていないが,来年度以降,一般の正則セル複体上の非巡回的向き付けに関するモース理論のアナロジーの展開を期待する. 以上の結果は,本研究課題の「グラフの非巡回的向き付け上の最適化問題」の必要とされる問題の構造に関する議論を深める結果であり,本研究課題の前進に大きい貢献をもたらすものと考える. この他,埼玉大学下川氏との,3次元球面の組合せ的分割を結び目との関連に関する論文が公刊された.
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