2003 Fiscal Year Annual Research Report
時系列データの異常性の検出のための確率過程の定常性に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
15740053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松浦 真也 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助手 (70334258)
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Keywords | 時系列解析 / 異常の検出 / 定常性 / 退化した確率過程 |
Research Abstract |
本研究の目的は、自然現象や社会現象における異常の発生を、定常性の崩れとしてとらえ、これに基づき時系列の異常の検出を行う手法を開発することである。その際、定常性の概念として、従来の弱定常・強定常の概念だけでは不十分なので、本研究では、より実践的な定常性の概念を導入する点に主眼をおいている。 本年度の研究では、まず、実データの解析として地震波の正確な検出に焦点を当てた.これまでの解析において、地震波の推定到達時刻と実際の到達時刻の間にずれが生じることや、地震とは直接関係のないノイズによる異常と地震波の到達に伴う異常の区別が難しいなどの問題点があることが判明していた。本年度の研究では、地震波の3次元的な挙動に着目し、波の3次元的な定常性の推移および東西・南北・鉛直各成分の定常性をそれぞれ詳細に調べた。その結果、地震の到達に伴う異常とそれ以外の異常の区別には、3次元的な定常性の推移を調べることが非常に有効であることがわかった。また、地震波の水平(東西・南北)成分を詳細に調べることで、地震波の到達時刻がかなり正確に推定できることが判明した。 一方、確率過程に関する理論的な研究として、与えられた確率過程が退化している場合について、その時間発展を記述する方程式のノルム最小な係数に関するアルゴリズムを導いた。以前の研究において、ノルム最小な係数がウエイト変換と呼ばれる変換を用いて、ある種の関数の極限として表現できることを導いていた。本年度の研究では、ノルム最小な係数間の明示的な関係式を極限を含まない形で導出した。実データの解析において、与えられた時系列データが退化した確率過程に由来するものである場合、その走常性を正確に判定するには様々な困難が生じる。今回の理論的な研究成果は、こうした問題点の解消に役立つものである。
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Research Products
(1 results)