2004 Fiscal Year Annual Research Report
時系列データの異常性の検出のための確率過程の定常性に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
15740053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松浦 真也 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助手 (70334258)
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Keywords | 時系列解析 / 異常の検出 / 定常性 / 退化した確率過程 |
Research Abstract |
本研究の目的は、自然現象や社会現象における異常の発生を、定常性の崩れとしてとらえ、これに基づき時系列の異常の検出を行う手法を開発することである。その際、定常性の概念として、従来の弱定常・強定常の概念だけでは不十分なので、本研究では、より実践的な定常性の概念を導入する点に主眼をおいている。 昨年度の研究において、決定性の強い時系列(背後に存在する確率過程が退化している時系列)の定常性について、データ解析を集中的に行った。それを踏まえ、今年度の研究では、退化した確率過程に対する理論的な研究を進めた。具体的には、前年度までの研究で、退化した確率過程の時間発展を記述するノルム最小型の方程式の導き方が求められていたが、それを使い具体的に、ロジスティック写像などの力学系に付随する確率過程に対する方程式を求めた。また、前年度までに行ったデータ解析により、深部低周波地震の地震波の時系列が、多くの場合、かなり高い決定性を有すること、さらに、この種の地震に特有の非線形構造を有することが明らかになっていた。今年度は、この非線形構造に関連する理論的な研究も進めた。さらに、退化した確率過程と関係の深い代数的なテーマについての研究も行った。 一方、実データの解析については、今年度は、決定性の低い(ランダム性の強い)時系列を中心に行った。特に、為替や金利(ショートレート)のデータについて調べ、経済的なニュースと関係の深い定常性の崩れ(異常)を効率よく検出できるか調べた。その結果、これまで開発を進めてきた手法で、ある程度有益な情報が抜き出せることが判明した。
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Research Products
(1 results)