2003 Fiscal Year Annual Research Report
クラックの入った有界領域上のラプラス作用素の固有値について
Project/Area Number |
15740091
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉冨 和志 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (40304729)
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Keywords | ラプラス作用素 / 固有値 / 特異摂動問題 / クラック |
Research Abstract |
ラプラシアンの固有値の特異摂動問題について考察する.Ω⊂R^2を境界が滑らかな有界単連結領域とし,γ:[0,T]→R^2を∂Ω上の2点を結ぶ,自己交差の無いΩ内の滑らかな曲線とする.曲線γは弧長でパラメータ付けされているとする.ε∈[0,T]に対し,L(ε)を∂Ω上でDirichlet境界条件,亀裂γ((ε,T))上でNeumann境界条件に従うL^2(Ω)上の(-Δ)とする(ここでΔは2次元ラプラシアンである).j∈Nに対し,λ_j(ε)をL(ε)の多重度を込めてj番目の固有値とする.λ_j(ε)はεの単調非減少関数である.曲線γと∂Ωが点{γ(0)}で次数k(1<k<∞)で接するときに,λ_j(ε)のε→+0とするときの精密な漸近展開を求めることが本研究の目的である.γ(0)=0とし,∂Ωとγ((0,T))は原点の近傍でそれぞれx=0とx=y^kで表されると仮定する.また,Ω\γ((0,T))の2つの連結成分のうち,原点における頂角が0のものをΩ_+,頂角が2πのものをΩ_-とおく.L^±をL^2(Ω_±)上の(-Δ)で,∂Ω_±∩∂Ω上でDirichlet境界条件,γ((0,L))上でNeumann境界条件に従うものとする.L_+,L_-の第1固有値をそれぞれλ^+_1,λ^-_1とおき,λ^+_1<λ^-_1を仮定する.このとき,次の指数減衰評価を得た. λ_1(ε)-λ^+_-=ο(exp(-π/2ε^<-k+1>)) as ε→0. さらに精密な評価を得ることが今後の目標である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 吉冨和志: "Eigenvalue Problems on domains with cracks II"Japanese Journal of Mathematics. 29・2. 181-220 (2003)
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[Publications] 吉冨和志: "Coexistence problems for Hill's equations with 3-step potentials"Publications Mathematicae Debrecen. (掲載予定).