2004 Fiscal Year Annual Research Report
Allen-Cahn方程式におけるV字型進行曲面波
Project/Area Number |
15740102
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷口 雅治 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教授 (30260623)
|
Keywords | traveling wave / stability / V-form wave / Allen-Cahn equation / multi-dimensional wave |
Research Abstract |
Allen-Cahn方程式は,常磁性体・強磁性体または気体・液体などの相分離を記述するこの放物型偏微分方程式である.これを2次元平面において考え,2相の境界面がV字型をなす進行波の存在と安定性を証明することを本研究は目的としている.これは形のある進行波としてもっともシンプルなものであり,2相のエネルギー状態の相違と境界面の曲率の相互作用によりこのような進行波が生ずると考えられる.2004年3月,優解と劣解をもちいる手法により私は二宮広和氏とともにこのV字型をなす進行局面波を構成しその安定性を証明した.後にHamel, Monneau, Roquejoffreらにより同様の結果が得られた. 構成した優解は任意に大きくとれる.また構成した優解と劣解の間の進行波が唯一であることが示すことができる.これにより与えられた初期擾乱が遠方においてゼロに収束するという仮定のもとで,空間大域的な漸近安定性が示されたことになる.現時点では劣解は任意に小さくとることができるかどうかは不明なのでこの大域漸近安定性については未解決な部分が残っており,現在,私はこの未解決問題に取り組んでいる. 与えられた初期擾乱が遠方で減衰しない場合については,Allen-Cahn方程式と密接な関係にある.曲率流方程式について考察している.定数の駆動力のある曲率流方程式により進行する直線解の安定性がもっともシンプルな場合としてあげられる.この場合,安定性は常に保証され漸近安定性が問題となる.私は大学院生の奈良光紀君とともに,初期擾乱が遠方で減衰しない場合について,漸近安定性とはならないいくつかの擾乱の例と漸近安定性となるための十分条件を与える結果を出した.これは現在投稿中となっている. (M.Nara and M.Taniguchi, Discrete and Continuous Dynamical System, Ser B (submitted))
|
Research Products
(3 results)