2003 Fiscal Year Annual Research Report
弦理論の非摂動的側面、特に高次元物体(ブレーン)の力学についての研究
Project/Area Number |
15740143
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 幸士 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (80345074)
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Keywords | 超弦理論 / ブレーン / 非可換ゲージ理論 / 行列力学 |
Research Abstract |
研究計画に基づき、平成15年度前半では、超弦理論における交差するブレーンがどのように組み替わるかを、低エネルギー有効理論の立場から明らかにした。これは、ブレーンが局所的に消滅したことに相当しており、ブレーンの消滅に関するSenの予想を特定の場合に証明したことになる。ブレーンの組み替えは、ブレーンを弦理論の基本的物体だとする立場では非常に基本的な相互作用である。また、ブレーンを元とする弦理論的現象論でも、この組み替え機構は、インフレーション宇宙モデルや標準模型のヒッグス機構などを実現するための中核をなす。これらの意味で、ブレーンの相互作用の重要な部分を解明したと考える。 この研究結果について、弦理論の唯一の大規模国際研究会である『Strings2003』研究会において発表を行なった。また、本研究は、マサチューセッツ工科大学のTaylor助教授との共同研究に基づく部分もあり、本科学研究費の外国旅費を使用してマサチューセッツ工科大学に10日程度滞在したことが、研究に本質的な発展を促した。 このようなプレーンの動力学は、ブレーン間をつなぐ弦の力学に大きく依っており、それは非可換な行列で体現されている。この非可換性が高次元のブレーンの形にどのように寄与しているかを、15年度後半の研究で明らかにした。ここでは、更に具体的に、行列の情報が、ブレーンから離れた場所に於いても高次元空間の電荷分布の情報を与えていることを明らかにした。これらの研究成果は、合衆国アルゴンヌ国立研究所における、ブレーンの力学に関する国際研究会の招待講演で発表を行なった。また、その他各地でも研究講演を行なった(筑波大学、高エネルギー加速器研究機構、お茶の水大学、埼玉大学、理化学研究所、東京工業大学、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、東京大学、京都大学)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Hahsimoto, W.Taylor: "Strings between Branes"Journal of High Energy Physics. 0310. 040 (2003)
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[Publications] K.Hashimoto, S.Nagaoka: "Recombination of Intersecting D-branes by Local Tachyon Condensation"Journal of High Energy Physics. 0306. 034 (2003)