2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15740145
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 義輝 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (00359689)
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Keywords | 多線式比例計数管 / 非束縛準位 / 一中性子ストリッピング反応 / 14Be核 / 19C核 |
Research Abstract |
荷電粒子飛跡検出器の一種である多線式比例計数管を開発し、理化学研究所リングサイクロトロン施設でのビーム実験に使用しその有効性を確認した。比例計数管はX四面、U二面、V二面の合計八面のセンス面から構成され(読み出しチャンネルは96チャンネル)、有感領域は横方向に190mm、縦方向に140mm、奥行き方向に128mmである。斜め方向にワイヤーが張られたU,Vセンス面を有する為、荷電粒子の飛跡を複数飛跡に対しても不定性なく三次元的に再構築可能である。飛跡再構築のためのアルゴリズムを考案し、ソフトウェアを開発した。核子当たり70MeVの14Beビームに対し一面当たりの測定位置分解能70μmを得た。当比例計数管を、14Be->12Be+2n及び19C->18C+n分解反応のエクスクルーシブ測定による14Be核と19C核の非束縛準位の探索実験に使用した。計数管は液体水素標的の下流で、かつ分析電磁石の上流に位置する箇所に配置した。計数管の情報を用いることで散乱荷電粒子の出射方向を0.1度の精度で決定可能となった。さらに、この情報を分析電磁石の下流側に配置された既設の飛跡検出器の情報と組み合わせることで、荷電粒子の質量をA/ΔA(FWHM)=50と従来を70%上回る精度で決定可能となった。これにより、分析電磁石系を含む既存の実験セットアップでの分光学研究の対象核種を、質量数が25程度までのより重たい領域にまで広げることができた。今後データ解析を進め、14Be核と19C核の中性子崩壊閾値より上に位置する励起準位の探索を行う。また、インクルーシブな反応チャンネである19C->18Cの一中性子ストリッピング反応の断面積を求め、これを近年SurreyならびにMSUの理論グループにより開発されたアイコナール近似に基づく理論計算結果と比較し、19C核の基底状態のスピン、パリティの情報を得る。
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