2004 Fiscal Year Annual Research Report
大強度ニュートリノ・ビームを用いた長基線実験のためのニュートリノ・モニターの開発
Project/Area Number |
15740162
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
市川 温子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (50353371)
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Keywords | ニュートリノ / ビーム / 長基線ニュートリノ振動実験 |
Research Abstract |
ニュートリノ振動現象におけるappearanceの発見を目指して、東海村に建設中の大強度陽子加速器およびスーパーカミオカンデを用いた基線長295kmの長基線ニュートリノ振動実験(T2K実験)が計画されている。このような長基線実験では、ニュートリノ・ビームの中心方向を精密に測定することが不可欠である。本研究では、新しいアイデアに基づいた低コスト、高性能のビーム・プロファイル・モニターを開発している。 生成標的から約300メートルの位置でニュートリノ・ビームのプロファイルを測定することによって、その方向、安定性をモニターすることを想定する。この位置では、ニュートリノ・ビームは、10メートル程度に広がっており、そのすべてを覆おうとすると、巨大な検出器が必要になる。しかし、大強度ビームであるという特性を生かして、鉄とプラスチック・シンチレータからなる比較的コンパクトな検出器をビームに垂直な面内で格子状に10個程度、配置することによってビームプロファイルを測定するのである。 前年度の設計に基づいて、20cm厚さの鉄11枚とプラスチックシンチレータからなる検出器の試作機を製作し、高エネルギー加速器研究機構で行われていたK2K実験の前置ニュートリノ検出器ホールに設置して性能評価を行った。プラスチックシンチレータには、波長変換バーを取り付け、これを光電子増倍管で読み出したが、十分な光量を得られた。また、ニュートリノにより生成するミュー粒子と、バックグラウンドになるスカイシャインの中性子を区別するため、アクリルを使った全反射型チェレンコフ検出器を製作し、その性能評価を行った。これらの研究により、T2K実験におけるビーム・プロファイル・モニターとして、必要な性能を持った検出器の基本設計が確立された。
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