2004 Fiscal Year Annual Research Report
ブレーン・ワールド・シナリオに基づく超対称模型の現象論的側面について
Project/Area Number |
15740164
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
岡田 宣親 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (40360333)
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Keywords | extra-dimension / brane world / supersymmetry / grand unified theory / dark matter / cosmology |
Research Abstract |
標準模型を超える物理として有力視されている超対称模型やブレーンワールドシナリオに基づき、標準模型の持つ問題点、階層性問題やフェルミオン質量の階層問題など、に対し、満足のいく解答、あるいは解釈を与えるような模型の構築を行った。同時に、そのような新しい物理の将来実験での検証可能性についても、実験家とともに共同研究を行い、成果を発表した。 ある種のブレーンワールドシナリオにおいては、低温度において通常のビッグバン宇宙論を再現する宇宙解が発見されている。この解が、高温領域においては、通常の4次元解とは異なる宇宙膨張法則を引き起こしているとに着目し、これまで4次元守宙論で議論されてきた物理、とくにダークマターの存在量やグラビティーノ問題、バリオン生成など、の結論がどのように変更を受けるかについて研究を行い、継続的に成果論文を発表した。 近年のニュートリノ観測の結果は、ニュートリノの質量と世代間混合の存在を確立した。これは、現在唯一の標準模型を超える物理の存在を証明する結果であり、観測されているニュートリノの性質を説明することが可能な、標準模型を超える模型の議論が盛んに行われている。その中で有力視されているものの一つにSO(10)群に基づく超対称大統一模型がある。この模型の構成には多くの自由度が存在し、もっとも簡潔なSO(10)模型を定義すること自体、非自明な問題である。現在の観測結果、ニュートリノを含むフェルミオンの質量と世代混合や陽子崩壊の否定的な結果など、を再現する最も簡潔なSO(10)大統一模型の構築とその現象論的な側面について研究を行い、継続的に成果を発表した。 以上の研究のいくつかについては、海外研究者(海外在住の日本人を含む)と共同で研究を進めており、このために海外出張を行い、現地で多くの議論を行い研究を遂行した。また、リニアコライダー計画の一貫として開かれている国際会議において、会議のパラレルセッションの世話人を行う、レビュートークやサマリートークを行うなどの役割を果たした。
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