2004 Fiscal Year Annual Research Report
セリウムシリコン薄膜単結晶成長と高分解能角度分解光電子分光によるバンド分散の研究
Project/Area Number |
15740186
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
三村 功次郎 大阪府立大学, 工学研究科, 講師 (40305652)
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Keywords | 角度分解光電子分光 / 共鳴光電子分光 / 希土類化合物 / 薄膜単結晶成長 / 正弦波変調磁気構造 / RKKY相互作用 / 近藤効果 / スピン揺らぎ |
Research Abstract |
本研究の目的は、CeSi薄膜単結晶を成長し、in situでの温度可変角度分解光電子分光実験からバンド構造を明確にすることで、CeSiがもつ正弦波変調磁気構造の起源を明らかにすることにある。この目的を達するため、本年度は以下のことを行った。 角度分解光電子分光実験に必要となる薄膜単結晶試料の成長においては、結晶方位を決定することと共に、蒸着源からの蒸発量や、基板温度の正確な制御が重要な要素となる。基板ホルダの整備・基板の清浄化は昨年度のうちに達成できたため、本年度は蒸着源の整備および試料供給を迅速化させるためのロードロック整備を行った。ただしハンドメイドの蒸着源を用いて昇華点の高いCe,Siを安定して蒸発させる事に対して問題点が生じている。この問題においてSiについては、蒸発源用の坩禍をPBNからグラファイト製へ換装することにより対応できるものと考えており、早期に実現させ、CeSi薄膜単結晶試料の成長へと結びつける予定である。 上記と並行して、既存のCeSiバルク試料に対して実施したCe 4d-4f共鳴光電子分光実験の結果を真空紫外線物理国際会議(VUV-14)において発表した。CeSiにおけるフェルミ準位近傍のCe 4f^1終状態のスペクトル強度は、200Kから30Kまで温度降下に伴って増加していくが、逆に30K以下5.6Kまでは徐々に減少する。200-30Kまでの変化は近藤効果に伴う重い電子的振る舞いの成長により理解され、30-5.6Kの変化はRKKY相互作用によって磁気モーメントが反強磁性配列をとることで重い電子的性質が強く抑えられた結果として理解でき、電子比熱計数の変化とも矛盾しない。つまり、CeSiの共鳴光電子スペクトルの温度依存性は、RKKY相互作用と近藤効果の競合により生じるものであることを明らかとした。なお、本発表に関する渡航費は科研費から支出させて頂いた
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Research Products
(2 results)